やけど、瘢痕、ケロイド
熱などの刺激で皮膚・粘膜が損傷している状態が「やけど」です。 熱湯、火、電流の他、薬品などの刺激もやけどの原因となります。やけどはとても身近な創傷で、冷却などで対処される方も多いでしょうが、早期の治癒を促し、痕を残さないためにも、できる限り形成外科などで治療を受けましょう。
やけどの症状と分類
Ⅰ度
表皮に留まるやけどです。皮膚の赤み、痛みなどを伴います。
浅達性Ⅱ度
真皮の浅い層に達したやけどです。むくみ、水ぶくれ、赤み、痛みなどを伴います。
浅達性Ⅱ度までは、早期の適切な対処・治療により、ほとんど痕は残りません。
深達性Ⅱ度
真皮の深い層に達したやけどです。むくみ、水ぶくれ、赤み、強い痛みを伴います。
痕が残る可能性があります。
Ⅲ度
皮下組織にまで達したやけどです。皮膚が白っぽくまたは黒っぽくなるのが特徴です。
神経も損傷を受け、痛みがないこともよくあります。目立つ痕が残りやすくなります。
やけどの治療
やけどを負ってすぐの応急処置
流水、氷嚢や冷やしタオルなどで冷却し、痛みを抑えます。無理に衣服を脱ぐと皮膚が一緒に剥がれますので、衣類の上から冷やしてください。
腕1本を超える面積のやけど、気道のやけど、薬品によるやけどを負ったときには、すぐに救急車を呼び、病院で治療を受けましょう。
受診後の治療
軟膏、抗生剤の投与、傷の治癒を促進する薬剤などの治療を行い、やけどの進行と感染リスクを抑えます。
治療は、上皮が再生しても続きます。痛み、かゆみなどを抑えることも大切になりますので、自己判断での治療中止はおやめください。
瘢痕・ケロイド
皮膚が赤く盛り上がり、見た目が気になる肥厚性瘢痕、ケロイドは、手術による治療が可能です。
お悩みの方は、お気軽にご相談ください。
肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)とは?
怪我や手術でできた傷が治癒する過程では、コラーゲンを主成分とする繊維組織が形成されます。この繊維を「瘢痕」と呼びます。
そしてその中でも特に赤く盛り上がって目立ってしまうものが「肥厚性瘢痕」です。
ケロイドとは?
肥厚性瘢痕とは異なり、その症状が傷そのものより広範囲に広がっている状態です。痛み・痒みを伴うケースも多くなります。
治療による症状改善が期待できます。
瘢痕・ケロイドの好発部位
- 胸
- 肩
- 上腕
- 下腹部
- 下顎角(エラの角)
瘢痕・ケロイドの治療
肥厚性瘢痕、ケロイドは、原則としてその治療法が共通しています。
ステロイド注射による治療
ステロイド(副腎皮質ホルモン)による注射療法です。塗り薬によるステロイド治療と比べて高い効果が期待できます。
月に1回を目安として、定期的に行うことが大切になります。
手術療法による治療
瘢痕やケロイドを切除した上での皮膚移植手術、引きつれを伸ばす手術などが有効です。
ステロイド注射、リザベンの内服などの保存的療法と併用することで、再発の予防になります。